My Sunday Feeling 1127

yukinko

My Sunday Feeling No.170

最後の晩餐は、何を食べようか。
海外へ飛び立つ前夜に、毎度思うこと。

今回は野菜を食べたいな思った。山形のマッシュルームを、たくさん頬張った。舟形町の旬のマッシュルームは、とてもみずみずしく、甘かった。

2022年11月27日。
SAX奏者の園山光博さんと、マネージャーと
羽田空港からアメリカ行きの飛行機に乗った。
機内食のチキンと赤ワインをいただきながら、この日記を書いている。

『飛行機が墜落する確率は、車での交通事故が起こる確率の1000分の1』
知ってはいるものの、海外行きの飛行機は、やっぱりなんだか少々怖い。

そんな気持ちも相まって、飛行機の中ではいつも自分の人生を振り返る『走馬灯』のような時間が恒例行事になっている。

「ゆきは言葉が足りな過ぎる」
中学生の頃から、散々言われてきたことば。

思っていることを言葉にして伝えたところで
何も伝わらないどころか、勘違いされることが多くて。
自分の気持ちを言葉にするのが、とても苦手になり、
いつの間にか、すっかりやめてしまった。

言葉では伝えられない気持ちがあるから、
私は音楽を続けている。

一生涯、音楽を中心にして生きていこう決意したのは、ネパールで音楽教師として赴任する前の冬だった。

アジア最貧民国のネパールは、学力至上主義の国で、情操教育はない。
ネパールでは全国民が17歳の時に、絶対に受けなければならない統一テストに落ちると、未来に失望し自死する若者が年々増えていると、たまたま参加したJAICA地球ひろばでの講演会で知った。

音楽で命拾いしてきた私にとって、そのニュースにショックを受け、とても人ごとには思えなかった。

(勉強ができなくても、学校に行けなくても。
その人には絶対に輝かしい一面がある。)

これは、私が昔から信じてきたことだ。

私自身、とても長い間、生きる気力が湧かず、
部屋の中で騙し騙し生きてきたから。

「生きているだけで、あなたは輝かしい。」

そんな漠然とした絶対的な想いを証明するためにも、私はネパールに住み音楽を教えることを決めたのだと思う。

あれからしばらくの時が立ち、有難いことに
私は今も、音楽を仕事にして生きている。

ネパールで音楽を教えていた頃と、変わった気持ちといえば。

「もう、自分の意志だけで音楽をしていない」
ということだ。

まるで昔の自分を見ているような、引きこもりの方との音楽療法の時間。
今の時代を創り上げてきた、先人のこと。
音楽を続けたくても、様々な事情で辞めていった友だちのこと。
私に人生の喜びを教えてくれた故郷山形の仲間、
尊敬する先生や、大切な人たちの気持ち。

そういったものを原動力にして、私は音を鳴らしている。

あと8時間で、飛行機はアメリカに到着する。

日本代表で、山形代表で、篠笛フルート奏者として、伝統を継承する者として、アメリカで演奏ができること。

これは、私の人生に関わってくださったあなたのおかげさまに他ならない。

デヴィッド・ボウイが80年代のインタヴューでこたえていた
「これからの時代は、スーパースターは消滅する。だからこそ、ひとりひとりが、スーパースターの一端を担い、音楽を創ってゆくのだ。」
これに尽きると思う。

アメリカで笛を鳴らし、私には何ができるだろうか。

私が笛を吹くとき
「がんばれ」とあなたに言っていることを
「あなたは、生きているだけで輝かしい」と伝えたいことを
どうか、届いてほしい。

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  1. LIAO

    感動
    ゆきさんのライブが聴きたい….

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